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地元にこだわり、世界を驚かす。
立ち止まらずに
創造と挑戦を続けていきたい。

Vol. 01Vol. 01

大嶺酒造ファウンダー
秋山剛志Takeshi Akiyam

半世紀の時を超えて復活させた酒蔵から
世界を魅了する日本酒「Ohmine」を発信し、独自の道を切り拓く秋山剛志さん。
Vo.1に引き続き、独自の道を切り拓く秋山さんが光電子ウエアをまといながら
語った自身のストーリーと、地元への想い。

自分が生まれ育った地元に誇れるものを創りたい。自分が生まれ育った地元に誇れるものを創りたい。

秋山さんが山口県美祢市で大嶺酒造を復活させた当時、日本酒を取り巻く環境は決して良くなかった。家族からも「なぜ、日本酒なんだ」といぶかしむ声が上がったそうだ。「自分が生まれ育った地元に誇れるものを創りたい。それが、大嶺酒造を引き継ごうと思った理由でした。しかもビジネスとして成功するだけではなく、農業や地域資源を巻き込んでダイナミックに地元経済を変えたかったんです。日本酒にはその力があると確信していました。」もともと美祢市には産業が少なく、秋山さん自身も若い頃は地元を出たい衝動にかられたという。「大学で建築と共に『シビックプライド(市民の誇り)』を学び、卒業後はニューヨークのデザイン会社で働く日々の中で、改めて日本の良さを感じるようになりました。日本酒を好きになったのも、海外の友人と日本食を食べたことがきっかけ。そこで気がついたんです。自分は地元が嫌いなのではなく、地元に誇れるものがないことが嫌だったのだ、と。」果たして、日本からニューヨークへと羽ばたいたデザイナーは、酒蔵復活の担い手となるべく、再び山口の地に戻った。そんな秋山さんを迎えたのは、予想していた厳しい目と、想像以上に新参者を受け入れてくれた地元酒蔵の懐の深さだった。

自分の体温であたたまる光電子ウエアはものすごく頼もしい存在。自分の体温であたたまる光電子ウエアはものすごく頼もしい存在。

「山口県は、47都道府県のうち日本酒の売上を伸ばしている稀有な地域です。東北や北陸ほど寒さが安定していない山口県で美味しい日本酒が作られるのは、地元の酒蔵の努力があったからこそです。」それでも、日本屈指の鍾乳洞・秋吉洞をはじめ雄大な自然の残る美祢市は、冬にもなれば路面が当たり前に凍結するほどの寒さが辺りを覆う。盆地ならではの底冷えから身を守るように光電子ジャケットのジップを上げながら、秋山さんは続けた。「山口県の酒蔵は、日本酒のレシピを基本オープンにしています。どんな酵母を使っているかや精米や麹の加減も相談すれば教えてくれます。私が固定概念にとらわれない日本酒づくりを目指していたためか、当初は批判もありました。しかし、あるときを境にそれも変わりました。『酒蔵の復活に立ち会えるなんて二度とないかもしれない』『業界の俺たちが手伝わなくて誰が手伝うんだ』と言ってくれて。まるで自分の熱が返ってきたようにあたたかく応援してくれています。」秋山さんは、ふと思い出したようにジャケットを触れながら言った。「光電子のウエアも本当にあたたかいですね。一見、薄く見えても、着てすぐじんわりとぬくもりを感じます。自分の熱であたたまるという仕組みも面白い。ものすごく頼もしい存在です。」

世界が驚くビジネスモデルを地元と共に創造できたら面白いと思う。世界が驚くビジネスモデルを地元と共に創造できたら面白いと思う。

地元の農業や地域資源の未来を想う秋山さんは、自前の酒蔵をベースに未来志向のムーブメントをさらに広げようとしている。「“Ohmine”は地元の農家とともに作る最高級の酒米・山田錦と、コバルトブルーに透き通り地元では神様の水として親しまれる『弁天池』の湧水を原料にしています。“Ohmine”特有のフルーティな甘みは、ふたつの組み合わせ抜きに成し得ません。」新たな酒蔵では、酒米の洗浄から蒸しの工程、さらには隣接する自社の田んぼを流れる水路にも『弁天池』の湧水は使用されているのだという。「すべてにおいて、地元であることにこだわる。これは、“Ohmine”の原料にかぎらず、資金の調達や酒蔵の建設、人材の採用に至るまですべてです。美祢を飛び出したかつての自分にも胸を張って誇れる産業を地元に創出するために、立ち止まらずに創造と挑戦を続けていきたいと思います。」秋山さんは世界で高い評価を獲得しながらも、情熱と好奇心でさらなる“Ohmine”の美味しさを探求し続けている。若手農家とのコラボレーションなど、酒蔵の枠を超えた活動にも積極的だ。「たとえば、日本酒ブランドが地元の農家と共に新たなビジネスモデルを創り上げ、世界を驚かす。そんな時代をここ美祢から創造できれば、すごく面白いと思っています。」

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大嶺酒造ファウンダー 秋山剛志 Takeshi Akiyama

PROFILE

大嶺酒造ファウンダー
秋山剛志Takeshi Akiyama

2004 年、ニューヨークのデザイン会社に勤務。帰国後の2010 年に50 年以上休止状態だった大嶺酒造を復活させ日本酒ブランド「Ohmine」を発表。白桃の様な芳醇な香りと甘さが特徴的なOhmine は海外セレブを中心に人気爆発、現在世界7 カ国で展開中。その他にも多数のブランディングプロジェクトを手がけ、大学・専門学校の講師、雑誌記事やコラムの執筆をおこなうなど多岐にわたる分野で活動中。