人材戦略の考え方と人的資本

基本的な考え方

ゴールドウインでは、当社で働くすべての従業員とSPORTS FIRST─スポーツを愛し、理解し、その魅力を一人でも多くの方々へ届けたいという想いを共有しています。当社の企業価値は、従業員ひとり一人によるSPORTS FIRSTの実現を通じて達成されているもので、人的資本の最大化を目指すことが、経営上の最重要項目となっています。
激変する社会と、厳しい経営環境下においても、持続可能な成長を目指すための「人事基本方針」として、当社では「不透明な環境下においても、会社を持続的に成長させることができるプロフェッショナル人材の育成と確保を推進する」ことを掲げています。主管部門である人事部においては、「持続的な会社の成長に不可欠な人的資本経営遂行のため、経営戦略と連動した人事戦略を実行する」ことに加え、人材育成に注力し、組織の活性化と会社の持続的成長に繋げ、グループ全体の多様な人材の活用を促す諸制度の導入と推進を行います。また従業員に寄り添いながら、エンゲージメントの向上を目指し、活力とプレイフルマインドに満ちた集団形成に向けた人材ポートフォリオを作成することを目指しています。さらには、人材管理に関するオペレーションについても「高度化と効率化を求める管理者になる」ことを念頭に置き、各施策に取り組んでいます。

求める人物像

当社では「人事基本方針」の実現に向けて、「求める人物像」を定め、全社で共有しています。こうした人物像が当社の企業価値を支える人的資本であると認識し、これを最大化するための各施策に取り組んでいます。

推進体制・責任者

管理本部本部長を責任者とし、人事部が人事基本方針に基づいた各施策の主管部門です。各施策はESG経営推進委員会および経営会議へ報告し、経営会議を通して取締役会から監督・指示を受けています。また、グループ会社人事との連携ならびに、労働条件や職場環境、待遇面について従業員代表であるゴールドウイン委員会と意見交換・改善案の協議を行っています。

各施策の詳細は以下のページを参照してください。

ゴールドウインらしい企業風土の醸成

当社は創業以来、先人たちから受け継いだ知恵と技術を伝承し、ゴールドウインらしい企業風土を守りながら企業活動を行っています。活動の根幹にあるのは、SPORTS FIRSTの想い。従業員のスポーツに対するリアリティを、製品とサービスのリアリティにつなげています。2022年度からは、社長と社員が直接対話を行い当社のビジョンへの理解を深め行動指針とする社長講話研修(20~25名ほどの小単位でミーティング)と、キャリア採用者を対象に富山において当社の歴史を学び気づきを得る会長研修を行っており、それぞれ、計773名、211名が受講しています。

先人たちの功績を称え、その遺徳を偲ぶ「遺徳の碑」

富山県小矢部市に建てられた「遺徳の碑」。さまざまな苦難を乗り越えて会社の発展を支え続けてくれた先人たちの功績を称え、その遺徳を偲びたいという創業者の西田東作が想いを込めて建立しました。毎年の株主総会終了後には経営幹部全員が遺徳の碑を参拝しています。ただ過去を刻み、とどめるためにではなく、創業時の熱い想いと絶え間なく続けてきた努力を、現在、そして未来へと受け継いでいくための道標であり、さらなる発展へと向かう出発点でもあります。

情報の共有、目標の共有、会社の共有を実践

かつて富山県の高瀬神社や国泰寺などに場を借りて行っていた新入社員や経営幹部たちの研修合宿では、問題や将来の課題をまとめ、一人ひとりがどう取り組むかを考え、心を一つにすることの大切さを学びました。早朝の掃除に始まり、講話や座禅で心の鍛錬に励むことは当社の伝統行事となりました。現在では年一回、経営幹部が集まり会社の情報・目標を共有する経営方針発表会に引き継がれています。
2022年度はコロナ禍のため、オンラインで開催しましたが、2023年度は会場とオンラインとのハイブリッドでの開催をしました。

家族や先祖へ感謝し、遷宮による文化継承を学ぶ、伊勢神宮参拝

創業者の西田東作は、「世の中には人間の力の及ばないものもあります。迷った時は心を洗い、邪心を払って清浄な気持ちで神仏の前で、自分がどうすればよいかを真剣に考えてみる。そうすると自然と歩く道が見えてくるのです」と語っていました。当社では毎年、厄年を迎えた従業員が伊勢神宮を参拝しています。従業員一人ひとりが先祖や家族に感謝し健康を祈るとともに、20年に一度の遷宮の歴史を通じて、受け継ぐことの大切さを学ぶ機会としています。
2022年度は33名の従業員が参拝しました。

新しい視点のインターネットメディアSPORTS FIRST MAG

SPORTS FIRST MAGでは当社の従業員やゆかりのあるアスリートのインタビューを通して、スポーツを一番に考える人たちのスポーツライフや、スポーツと仕事、スポーツに役立つノウハウなどを発信しています。上手か下手か、強いか弱いか、という基準ではなく「スポーツを一番に考えるヒト、コト、生活、仕事」といった目線でスポーツを捉えた新しい視点のメディアです。
2022年度は15名の従業員のスポーツライフを紹介しました。

各種スポーツ大会への従業員の参加

当社では、160km以上のトレイルを走る国際的なトレイルランニングレース、ウルトラトレイル・マウントフジや、富山県で開催される富山マラソンなどに協賛するとともに、大会には多くの従業員が参加し、運営/ボランティアスタッフとして参画するなど、業務の中でもSPORTS FIRSTの実践に取り組んでいます。

2022年度の実績

イベント名 従業員の参加人数
北陸ウェルフェアゴルフトーナメント 24名
富山マラソン 27名
ウルトラトレイル・マウントフジ 42名

SPORTS FIRST AWARDS

SPORTS FIRST AWARDSは、ゴールドウインのタグラインであり私たち従業員の行動規範であるSPORTS FIRSTを実践している従業員を表彰する制度です。前年度の活動(インターネットメディアSPORTS FIRST MAG)のなかから、最もSPORTS FIRSTを体現していると思われる従業員を社内の投票によって選出し、その上位3名を表彰するもので、それぞれに金一封と特別休暇を授与しています。
2022年度は、憧れだった国際トレイルランニング大会 「ULTRA-TRAIL Mt. FUJI」を見事走り切った五嶋淳司がゴールドアワードを受賞し他、後藤太志がシルバーアワード、森山俊介がブロンズアワードを受賞しました。

スポーツエール制度

スポーツエール制度は、スポーツに関わる従業員に対して、一過性のイベント参加では無く、高い目標を立てて継続的なチャレンジをしていただくために支援を行う制度です。
スポーツ大会だけでなく大会でのボランティアや指導者としての参加も対象となっており、各自のレベルにより、金銭補助、商品提供、特別休暇などで支援します。 2022年度は29名の従業員が制度を利用しました。

ゴールドウイングループ委員会(従業員代表)

当社グループでは、店舗を除く各事業所で従業員代表を選任しています。また、従業員代表が執行部を担うゴールドウイングループ委員会を設置し、労働組合に代わり法的に求められる労使協議を行い、36協定を含む必要な労使協定を締結しています。
従業員代表の選任にあたっては、管理職を除く全従業員(パート・アルバイトを含む)の投票により、年に1回実施しています。また、従業員に著しい影響を及ぼす可能性がある重大な変更を実施する場合、従業員および従業員代表に対して事前に通知し、従業員代表との協議の上決定しています。従業員代表とは定期的に会議を実施しています。2022年度は人事制度評価のガイドラインを事前に説明するとともに、インターナルメディア「COMPASS」による情報発信、育児・介護休暇などの支援、スポーツイベント、サステナビリティ推進等について、7回の会議を行いました。また富山地区においては独自に10回の会議を行っており、上記のテーマに加え、労働安全衛生や地域におけるイベント等について話し合いを行いました。

今後の課題

当社では、今後も人事基本方針に基づき各施策に取り組みます。2022年度に開始した新人事制度の運用に伴い、次年度以降は新制度への円滑な移行と、従業員の理解促進に引き続き注力します。新制度により生産性向上を目指し、各制度改革とともに従業員の満足度調査を実施し、組織活性化を図ります。また、経営方針に基づいたグローバル人材の育成や、ダイバーシティの推進を行い、人的資本の最大化を目指します。