人材育成 Sustainability

基本的な考え方

「人」はゴールドウインの最大の資産であり、人材の成長こそが当社の成長の源泉となります。高い視座と革新性・創造性を持った従業員を育て、多様なナレッジを共有していくことが組織を強くするという考えのもと、当社ではさまざまな人材育成施策を実施しています。

70年以上に亘り受け継いできたゴールドウインのDNAを伝承し、事業成長を推進していく人材輩出に向けて、2022年度には新人事制度をスタートしました。新たに策定した人材マネジメント方針では「不透明な環境下においても、会社を持続的に成長させることができるプロフェッショナル人材の育成と確保を推進する」ことを人事基本方針とし、それに基づく「求める人材像」を明確にして人材育成の拠り所としています。

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お客様志向で、想像力が発揮できる、専門性の高い人材

相手の立場で物事を考え、人とは違う思考と、高いレベルの専門性(知識・スキル)により、新しい事業を構想・推進できる人材

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自身の役割・責任を主体的に果たしチャレンジできる人材

チーム(組織)として成果を上げるために、自身に求められる役割・責任をしっかり認識し、責任を持って遂行するとともに、新しいことにチャレンジする人材

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個性を尊重し、チーム力を活用して成果を上げることができる人材

個々の能力の最大化に加え、チーム(組織)としてのリソースを最大限活用し、全社最適の観点から事業を推進する人材


人材育成

ゴールドウインでは従業員一人ひとりの成長をサポートするため、長期的視点から研修制度を整備しています。階層別研修、管理職研修、選抜研修、全体研修の4つの軸で、社内講師および外部講師によるプログラムを組み合わせ、創造性やイノベーションを引き出すさまざまな機会の創出を目指します。2022年度は、会長研修や社長講話研修など、会社のトップと従業員が直接対話しエンゲージメントを高めることを目的とした、対象従業員の広い研修を重点的に実施し、企業風土の醸成を図りました。またサプライチェーン全体におけるマネジメントを効率よく行うためのリーダーの育成を目的に、選抜された従業員に対しサプライチェーンマネジメント研修を新たに行いました。2023年度は対象従業員を広げて実施する予定です。

研修受講状況・研修費総額(単体)
2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
全社共通の教育・研修の年間受講者数 のべ218名 のべ399名 のべ309名 のべ1,246名
全社共通の教育・研修費総額 7,451万円 7,734万円 4,667万円 5,025万円
従業員一人当たりの研修時間(平均) 2.01時間 2.64時間 2.39時間 3.64時間

階層別研修

新入社員から中堅社員、管理職に至るまで、各階層に合わせた研修を実施しています。社員が現在の業務にあたる上で必要な要件を身に付けられるよう支援し、全体の底上げを図ります。

主な階層別研修
研修 一人あたりの
研修時間
(時間)
受講者(名) 研修目的・内容
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
新入社員研修 78時間 40 29 34 13 企画、生産、販売まで行っているスポーツメーカーの人材として、自分の職種以外の業務を研修で経験し、これからの仕事に生かすことを目的に、新入社員およびキャリア採用の従業員は、当社の研究開発施設「ゴールドウイン テック・ラボ」において定期的に研修を受講しています。アーカイブコーナーで企業の歴史を学ぶとともに、自らスポーツウエアをつくり上げる縫製実習を通じて、ものづくりの基本を学びます。
中堅社員研修 実施なし 22 19 14 実施なし 自身の対人行動の特長を理解し、他者と絆を深めるポイント(対人関係の社会的能力)を学習 します。強い絆を持ったチームのあり方を体験的に理解します。
昇格者研修 4時間 60 49 38 58 販売アルバイトからの社員登用者を対象にした、マインドセット、モチベーション向上を目的とした研修
販売キャリア入社研修 3時間 11 43 28 25 販売キャリア入社者を対象にした、マインドセット、モチベーション向上を目的とした研修
販売基礎研修 38時間 11 15 15 7 新卒販売職を対象にした、販売の基礎を学ぶ研修

管理職研修

管理職の社員に対し、組織を管理する上で欠かせないマネジメントスキル等を磨く研修を提供しています。2022年度は新人事制度の導入にあたり、制度の理解と評価軸の共有のため、評価者勉強会とフィードバック面談の説明会を実施しています。

主な管理職研修
研修 一人あたりの
研修時間
(時間)
受講者(名) 研修目的・内容
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
新任リーダー研修 実施なし 24 23 30 実施なし 初めて管理職になる従業員を対象に、ゴールドウインの管理職としての基礎知識・ベースつくりを行います。
新任マネージャー研修
21時間 13 25 16 90 ゴールドウインの今後を担うマネージャーとして活躍するために、以下の3点について学ぶ研修です。
①マネージャーに求められる基本的な役割について
②チームを活性化し運営するスキルと、チームメンバーに対する指導・支援スキル
③マネージャーとしての自己理解
マネジメント基礎研修 15時間 85 27 21 店長の役割を理解する研修
ミドルマネジメント研修 36時間 4 0 10 15 部長職以上を対象とした、ビジネスリーダーとして必要となる経営スキルの体系的な修得と全社的な経営視点の養成を目指すプログラム(12回)
新任エリア長研修 0時間 0 20 6 0 健全な店舗運営の実現に向けて、エリア長としての役割を認識する研修
新任管理者研修 3時間 26 30 19 21 新任店長としての管理者業務の習得を目的とした研修
マネジメント研修 11時間 未実施 未実施 未実施 126 部長職に対して、マネジメントの向上を目的とした研修(2022/年7回)
新人事制度評価者研修 2時間 126 新人事制度の導入にあたり、制度の理解と評価軸の共有のため、評価者勉強会とフィードバック面談の説明会

選抜研修

優秀な社員を選抜し、ゴールドウインの将来を担う幹部候補として戦略的に育成しています。さまざまな研修を通し、実践的な知識や専門スキルの習得を促します。2022年度は、キャリア採用者を対象に、本店のある富山地区で1泊2日の会長研修を実施し企業風土の醸成を図りました。またサプライチェーン全体におけるマネジメントを効率よく行うためのリーダーの育成を目的に、選抜された従業員に対しサプライチェーンマネジメント研修を行いました。2023年度は対象従業員を広げて実施する予定です。

主な選抜研修
研修 一人あたりの
研修時間
(時間)
受講者(名) 研修目的・内容
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
若手選抜研修 20時間 6 0 18 6 選抜者を対象とした、ビジネスパーソンが成果を上げ続けるために身に付けておくべき論理思考力(問題解決力やコミュニケーション力、意思決定力など)を鍛えることを目的としたプログラム。
IFI研修
実施なし 1 1 7 実施なし (MD編)マーケティング、ブランデング、マーチャンダイジング等の知識の習得また、営業力の強化、VMD、在庫管理等の販売に結び付く実践的な内容を学ぶプログラム。
(店舗運営編)販売促進や営業力強化、店舗運営とVMDを含め、ブランド資産を増やせる店舗人材を目指すプログラム。
サービス・接遇研修 14時間 0 60 40 80 サービスに型を学び、顧客感動へ導く応対スキルを身に着ける研修
指導者養成研修 14時間 0 0 7 19 指導者としての効果的な部下育成の方法を学ぶ研修
会長研修 13時間 211 キャリア採用者を対象に、本店のある富山地区で1泊2日の会長研修を実施しています。研修初日は講義形式で会長よりゴールドウインの歩みを学んだのち、会社の発展を支えた先人たちを偲ぶ「遺徳の碑」、ゴルフ倶楽部ゴールドウインを見学。研修二日目はグループの物流機能を担うゴールドウインロジテムを見学後、トップアスリートたちとのモノづくりに関する話を講義形式で聞いた後に、直接モノづくりに触れる機会としてゴールドウイン テック・ラボで、プリント・縫製の技術研修に参加します。ゴールドウインの歴史や企業風土に触れるとともに、当社の技術力の優位性について社員が理解できるプログラム内容になっています。

全体研修

全社員を対象とした、各種研修プログラムを整備しています。積極的な受講を促し、ゴールドウインの人材力強化につなげています。2022年度は、社長自らが従業員と直接対話し意見交換をしながらエンケージメントを高める社長講話研修を行いました。研修は1グループ20~25名程度の人数で構成され、販売職以外の従業員を対象に実施しています。2023年度は対象を販売職の従業員へ拡大し、実施する予定です。

全体研修
研修 一人あたりの
研修時間
(時間)
受講者(名) 研修目的・内容
2022
年度
社長講話研修 2時間 773 ゴールドウインの理念や将来ビジョンを社長自ら社員に向けて直接発信・共有し、理念の浸透を図るプログラム内容

その他の研修

School of S2AT

当社は、従業員一人ひとりの創造性を育む独自の研修プログラムSchool of S²AT(スクール・オブ・サット)を、2020年11月から全従業員を対象に運営しています。S²ATはスポーツ、サイエンス、アート、テクノロジーの頭文字で、実際のフィールドで、さまざまなことを体験しながら直感と感性を磨くことを目的に、各分野の最前線で活躍されている方々を定期的にお招きし、従業員によるファシリテーションで行う、社内大学ともいえるプログラムです。2022年度は計6回、オンラインでの講習を実施しました。

スクール・オブ・サットの様子の写真

海外語学研修

海外事業を支えるグローバル人材の育成のため、入社3年目以上の正社員・契約社員(販売職を含む)を対象に、海外語学研修の参加者を社内公募しています。希望者は上長の推薦を受けて応募し、書類選考と面接を経て、最終的に経営会議で選出されます。選出された社員は帰国後の配属部署を事前に決定した上で、6カ月間ホームステイをしながら語学力を磨き、現地のゴールドウイン店舗でも経験を積みます。 2018年度から2020年度までに2名がこの研修制度を利用しました。これまでの実施国はアメリカです。2022年度以降はコロナ禍により実施を見送りましたが、状況に応じて早期の再開を予定しています。

サステナビリティ研修会「“GREEN IS GOOD” ワークショップ」

ゴールドウインでは、「GREEN IS GOOD」のコンセプトのもと、環境負荷の低減・環境にやさしい商品開発を目指しており、環境に配慮した商品の開発や仕組みを取り入れることで、持続可能な社会の構築に少しでも貢献していきたいと考えています。環境に対する考え方を統一して、今後の商品企画に積極的に生かせるように定期的にサステナビリティに関する研修会を行っています。毎回環境に関する講演を聞くとともに、テーマをもってワークショップを実施し、環境に対する意識の向上を目指しています。2022年度は、当社の従業員代表組織であるゴールドウイングループ委員会が中心となり、GREEN IS GOODに関する講演とワークショップを行いました。株式会社JEPLANの高杉賢治氏を講師にお招きし、服の環境問題や、衣類の回収からリサイクルに至るまでのプロセスについてお話を伺いました。ワークショップでは、講演の内容をふまえて、店頭に実際に設置している回収ボックスに集まった衣類の組成表示を見て、分別する作業を体験しました。コロナ禍における開催のため、対面では販売職19名、内勤者17名の参加でしたが、オンラインでの参加や後日のアーカイブ視聴も行いました。

ワークショップの様子の写真
ワークショップの様子の写真

ユニバーサルマナー研修

従業員一人ひとりの多様な経験やバックグラウンドは、事業を支え、成長させていく原動力となります。ゴールドウインでは、持続的な成長と企業価値の向上を実現させるためには、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、ダイバーシティインクルージョンを推進しています。2022年度はその取り組みの一環として、障がいのある人やLGBTQなどの多様性を持った方への理解と基礎的な知識を身に着け、サポート方法を学ぶためにユニバーサルマナー研修を実施しました。日本ユニバーサルマナー協会代表理事の垣内俊哉氏を迎え、「バリアバリュー~障害を価値に変える~」をテーマに、全従業員を対象に講演を実施しました。講演はオンラインで実施し、後日アーカイブ視聴も行いました。2023年度はユニバーサルマナー検定3級の受講の補てんも行う予定です。

接客ロールプレイングコンテスト「セールスコンベンション」

ゴールドウイングループでは、企画開発した製品の機能や用途、さらには着用場面や注意点などの情報を、直営自主管理店の店頭を通じて直接お客様にお伝えして、新しい体験をご提案する双方向コミュニケーションに力を入れています。年一回実施している接客ロールプレイングコンテストの「セールスコンベンション」を通じて、販売スタッフ自らの接客スキルの向上を目指しています。2022年度はコロナ禍のため実施を見送りましたが、状況に応じて早期の再開を予定しています。

セールスコンベンションの様子の写真

海外赴任者研修

ゴールドウイングループでは、海外赴任が決まった従業員に対して、赴任前研修を行っています。語学研修の他、パスポート、ビザ、保険、健康診断関連などの各種手続きや、赴任後の住まい、子女の教育等、海外における生活を総合的に学びます。2022年度はコロナ禍のため海外赴任者がありませんでしたが、今後は状況に応じて実施する予定です。


従業員のキャリア開発支援

ゴールドウインでは、従業員が多彩な能力を開発し、自ら希望するキャリアを実現していけるよう、ワークショップの開催や面談を通したさまざまな支援や、技能検定の補助等を行なっています。また、配属先の決定にも、従業員自身の希望を反映しやすい仕組みを整えています。さらに、従業員の製造技術・技能の向上や、繊維製品の品質・性能の向上を図ることを目的とした各種検定・資格の受験料の補助を行い、従業員のさらなるキャリアアップを支援しています。2023年度からは、これまで年2回だった上長との面談を4回行うことにより、従業員のキャリア形成をバックアップする体制を整える予定です。


キャリアアンドディベロップメント(C&D)

ゴールドウインでは年1回、部長職以下の全従業員(契約社員も含む)にキャリアデベロップメントカードへの回答を求めています。これは、オンラインアンケート形式で自身のキャリアへの考え方や業務上の課題について尋ねるものです。アンケート項目には異動の希望に関するものも含まれ、全社的な人材配置の資料として活用されます。キャリアデベロップメントカードを通し、従業員は今後自分がどのように働きたいかを会社に伝え、所属部署や勤務地の選択に主体的に関わることができます。

2022年度は内勤者103名、販売職161名が異動希望を出し、そのうち17名が希望部署に異動しました。


社内公募制度

新規部署の立ち上げなどにあたり、その部署に希望する人材を配属できるよう、当社では必要に応じて社内公募を行っています。応募した従業員は該当部署および人事部の審査を受け、業務に必要な基準を満たしていると判断された社員の中から厳正に選出されます。社内公募は不定期で、2022年度の実施はありませんでした。従業員の希望を重視した異動の仕組みとして、2023年度以降は状況に応じて実施する予定です。


技能検定等の補助

ゴールドウインでは、従業員の製造技術・技能の向上や、繊維製品の品質・性能の向上を図ることを目的とした各種検定・資格の受験料の補助を行い、従業員のさらなるキャリアアップを支援しています。

各種検定・資格補助一覧
検定・資格名 頻度 負担金額 現在の認定者数 うち、2022年度認定者
婦人子供服既製服縫1級、2級 毎年実施 受験料の半額を会社が負担 23 1級/2名、2級/1名
繊維製品品質管理士(TES)試験 受験料の全額を会社が負担 90 7名
婦人子供服既製服パターンメーキング1級、2級 2年に1回 受験料の半額を会社が負担 10 0
縫製機械整備 1級、2級 受験料の半額を会社が負担 41 1級/2名、2級/3名

キャリア相談室・キャリアワークショップ

従業員一人ひとりが、(1)社会の変化から今の自分の状況を客観的に見ることができ、(2)変化に気づき、理解し、自分のなかに取り入れることを体験し、(3)未来を生き抜くための自分自身の力を考える機会を提供するために、定期的にキャリアコンサルティングを実施しています。さらに年に1回、「50、55歳」「40、45歳」「30、35歳」の年齢別のキャリアワークショップを開催しており、それぞれのライフステージに応じて従業員が自分のキャリアを見つめ直すきっかけを提供しています。

2022年度の50sキャリアワークショップには、50歳32名、55歳15名(フォローセッションでは50歳32名、55歳9名)、40sキャリアワークショップには40歳20名、45歳14名(フォローセッションでは40歳14名、45歳10名)、30sキャリアワークショップには30歳17名、35歳12名が参加しました。また、キャリア相談室として、希望者にはキャリアコンサルタントによる個別面談を通年で実施しています。

利用者の声

(役に立った自由記載)

30代の声

  • リモートかつキャリア入社が増えているなかで、他部署の同年代とのつながりができてよかった
  • 同年代の仕事への姿勢、取り組み方などを知ることができ、参考になりました。
  • インプットだけでなく、特にグループワークでのアウトプットと講師の方など他の方からのフィードバックを通じて、自分のキャリアについて頭の中を整理することができました。アウトプットできたことが特に良かったと感じています。

40代の声

  • キャリアを振り返り、自分自身の強みを改めて発見できた。さまざまなキャリアの人と話すこと、社内の他部署の同世代と話すことで新しい視点をもらった。
  • グループの方に伝えることを通して、改めて自身のキャリアの整理や振り返りができて良かった。同世代の方々の事を知ることができて良かった。
  • この年齢は、新卒採用をしていないので、共感できる内容や、気づかされること、得られることが、多かったです。

50代の声

  • 50代の働き方、気持ちの持ち方について考える機会がもてました。
  • これまでの自分のキャリアを改めて見直す事が出来て、さらにこれからの10年をどのように過ごしていくためにいろんな視点で考える良い機会になりました。
  • 自分の過去のキャリアを再確認することができた。また、同世代の皆さんの悩みや今思っていることなど聞くことができて自分自身も安心できた部分があるし参考にもなった。

今後の課題

当社では、2022年度よりスタートした新人事制度のもと、会社としての育成方針や求める人材像をより明確に従業員に示していくことに注力しています。人的資本を最大化するため、積極的に能力開発を目的とした研修を行い、従業員一人一人が自身のキャリアアップを考えられるような環境を整備し、従業員の自己啓発を加速させ、チャレンジする気持ちを高める制度運用を目指します。また、当社がどのような支援策を用意しているかを、従業員一人ひとりに分かりやすく伝えていきます。